所有から利用へ。
クルマに限ったことではありませんが、モノの所有にこだわりはないけど必要に応じて自由に使いたいという需要が高まっています。これに乗じて増えてきたのが、レンタカーやカーシェア。さらにはHuluなどの映画やブランドバッグなど、定額で使い放題サービスはその領域を拡大しています。
レンタカーやカーシェアは、短時間や期間限定での利用には便利ですが、長期利用だと恐ろしい料金になります。例えば最安値クラスで1日5500円。これを1か月借りると16万5千円。これでも使うときだけでいいから、所有は面倒だから借りる!という人はほぼいないはずです。
そこで新車に1万円で乗れる!などのうたい文句で支持を広げているのが”サブスクリプション”、クルマ利用の定額サービス。トヨタ自動車もメーカーとしてこのサービスに本格参入することになっています。
リースと違うの?
リースに比べて短期期間での乗り換えができます。通常5~7年のリースよりも自由度が高いのが特徴。さらには契約の審査もリースよりも簡単といわれます。レンタカーは「わ」ナンバー。サブスクリプションでは使用者は契約者になります。
ローンとは違うの?
輸入車などで利用者が増え、最近は国産でも力を入れている「残価設定ローン」。あらかじめ3年後や5年後の車の価値を差し引いた金額を、3年や5年で分割して支払うシステム。下取りが高い車種など、場合によっては半額で新車に乗ることができます。そんななかサブスクリプションは、「税金や車検・整備代も含んで”毎月定額”」というのがポイント。クルマのローンに自動車税に保険、車検にガソリン、駐車場など、クルマには”購入”以外に、”使用””維持”など多くのお金がかかります。基本、駐車場とガソリン以外は毎月定額であれば、生活プランが立てやすいということです。
メリット/デメリット
サブスクリプションは、当面高所得層と低所得層から広がると言われています。
ボルボのV40なら月々64,800円(5年)や、メルセデスでは月額12万円で自由に利用できるけど割と高額で、買うほうがいいのかどうか微妙なもの。一方新車のN-BOXに、頭金なしで、税金保険も含んで月々19,400円と言われると得な感じがします。厳密には金利や残価などのバランスを考えると、キャッシュで買うほうが安いのですが・・・
まとめ
高いと思いながらも当たり前に払ってきた税金や保険、車検などを受け入れられないという人が増えているなか、そのあたりを含んで見えにくくしたことが人気の秘訣だと思います。
また高所得層でもキャッシュを減らして高級車を買うより、定額で定期的に最新型に乗り換えたいという人の需要を掘り起こせるのではないでしょうか?
なにより誰が乗ったかわからないものにいつも乗るより、とりあえず契約期間は自分だけが利用できる。そして自動車会社には、定期的に整備した新しい中古車を確保できるというメリットが。また新しい高層マンションに定期的に移り住みたいという方などは、日々進化する安全機能や通信デバイス、動力源などいつも最新型に乗れるので、多少高くても受け入れられそうです。
最後に、ホイールやオーディオなど、自分好みにカスタマイズするマニアには向きません。クラシックカーやビンテージカーなどは、今後ますます限定されていくのかもしれません。
文 イオ ケンタロウ