概要
2000年頃から、日本の自動車マーケットはミニバンブームに。またプリウスに代表されるハイブリットカー(エコカー)が市場の主流を占めてきました。最近この状況に少し変化の兆しが出てきているように感じます。
日伊共同開発のスポーツカー デビュー
最近、マツダロードスターをベースに、イタリアのチューニングブランド・アバルトが内外装はもちろん、エンジンやサスペンションなど、多岐にわたって独自開発したスポーツカー、アバルト124スパイダーをデビューさせました。イタリアのデザインや走行性能に、日本の信頼性が加わった、真のグローバルカー。両社の利益が一致した協業として成功しています。
日本の最新スポーツカー
先日ホンダが久しぶりに本格スポーツカーNSXを復活させました。ただ価格は2000万円オーバー。日産GT-Rも1000万円オーバーとなるなか、300万円以下で買えるトヨタ86、マツダロードスターなど日本の小型スポーツカーは、今一度多くの人に車に興味を持ってもらう、またクルマ趣味を”自分ごと”として感じてもらうにあたり、とても意味のある車種です。あまり台数の出ないスポーツカーでありながら、本格的な専用設計としているこの2台は、世界的に見てもとても価値があるクルマだと思います。
世界の元気なスポーティカー
輸入車では、小型ボディに強力なエンジンで走行性能の高いスポーツモデルがたくさんあります。
VWゴルフ/ポロGTI
1974年の初代ゴルフデビュー以来、長きにわたり日本で売り続けているスポーツモデル。最新モデルは、現在ドイツのニュルブルクリンクサーキットで、FF車世界最速です。
ルノーメガーヌ/ルーテシアR.S.
こちらも知る人ぞ知る本格的なスポーツモデル。カングーなど和やかな車種で有名なルノーですが、F1にも出ているメーカーとして、マニアもうなる本格的なスポーツモデルを持ち、日本に輸入しています。
プジョー308/208GTI
オシャレなイメージのプジョーですが、左ハンドル6速マニュアルのスポーツモデルGTIをラインナップ。サスペンションやブレーキにまで手を加えたスポーツモデルで、わかる人にはわかるとてもツウなクルマです。
アルファロメオジュリエッタ
イタリア車らしく、ハッチバックながら洒落たデザインのスポーツ車種。四葉のクローバーで象徴されるクワドリフォリオモデルは、排気量も大きく高い走行性能を実現しています。
まとめ
ご紹介したいずれのモデルも、一般的な車種に比べると台数的に売れるクルマではありません。それでも運転する愉しみ、悦びを感じてもらうために開発し、また輸入していることに大きな意味があります。長らく販売を伸ばしてきた軽自動車が、ここ最近販売台数を減らしています。税金が上がったこともありますが、単なる足としてのクルマは、壊れるまで買い替えないことが原因と言われています。自動車に興味がなくなれば、家電のように壊れるまで買い替えない。クルマ趣味のひとつとして、スポーツカーは大事な存在です。
最近広島市中区の広島大学跡地に、広島トヨペットがCliP(クリップ)という、クルマの情報発信基地をオープンさせました。自動車の展示こそありますが、カフェやナレッジルーム、ミニライブラリーなど、まずはクルマを身近に、気軽に感じてもらうことに力を置いた施設。キッズのメカニック体験など、オトナはもちろん、子どもたちにクルマの魅力を発信していくそうです。
自動車は日本の基幹産業。室内が広い、燃費がいいなども、自動車にとって大事な要素ではありますが、クルマが家電化しないため、”もう一度クルマを好きに”という動きが少しずつ出ており、世に認知され始めているなら、うれしいことです。
文 イオ ケンタロウ 写真は一部サイトから借用