自動車販売の未来

オートモール

「メーカーと流通の逆転」をスローガンに、それまでのメーカー主導から小売りが主導する世界へと変えたのが、主婦の店 ダイエーの創業者・中内 功 氏。その後は、小売り店舗で販売スペースをもらうために、食品や飲料メーカーがあの手この手で流通に攻勢をかけ、売り場を確保する仕組みができました。

家電の世界もこの流れは顕著で、パナソニック、ソニー、日立、東芝など、各メーカーの商品は量販店で横並びにされ、消費者の厳しい目にさらされるとともに、量販店の裁量で売れ行きが左右されるようになっています。

このような販売競争に巻き込まれることを避け、独自ブランドの構築に熱心なのがアップル。都市部では独自にアップルストアを構えて、自社の製品を丁寧に販売しています。

自動車の世界はというと、日本ではブランドごとの販売網が確立されており、基本的にセールスマンは自社ブランドの販売に専念しています。輸入車は販売台数が少なく、他ブランドとの併売でしのぐメーカーもちらほら。このような中、専売店戦略で大きくイメージを上げたのがアウディです。以前はベンツやBMWと一緒に売られていたものを、専用店舗で販売する戦略に切り替えて、販売を増やすことに成功しています。

一方、バイクの世界は、レッドバロンなど、家電のように大手資本が何でも売るということで勢力を強めていました。

量販店で売られるということは価格競争に巻き込まれるということ。

この流れに対抗するため、いち早く手を打った国内メーカーがホンダ。ホンダドリームというメーカー資本の大型店を出店して量販店に対抗。この背景には輸入車ブランドの健闘があります。ハーレーやドゥカティなど、海外ブランドは量販店での台数より独自店でのブランド構築を大切にしており、結果として販売も伸ばしています。

これらを踏まえ、国内メーカーのカワサキとヤマハも、今後急速に専売店戦略に切り替えていく模様。大型バイクは、今後メーカーの基準を満たした店舗でしか販売できない体制に切り替えるようです。

さて、自動車販売の未来はどうなるのでしょうか?

アメリカではオートモールという自動車量販店が主流を占めてきました。

横並びで比較でき、売り手も何か売れればいいので、価格競争により消費者は安価に購入できます。その一方メーカーは疲弊していきます。

数ある国産ディーラー網のなかで、きちんとすみ分けができているのはトヨタくらいという現実があります。日産は古くはサニー店などあり、その後ブルーステージやレッドステージなどやりましたが、今やよくわからなくなりました。ホンダもスポーツ系はベルノ店、高級車はクリオ店、ファミリーはプリモ店としていましたが、いつの間にかどこでも何でも買えるようになり、今やホンダカーズという1店舗に。ブランド戦略に躍起となっているマツダは、一時期5チャンネルで失敗し、今はマツダ店・アンフィニ店・オートザム店に。全国的にはアンフィニは少なく、もう少し整理されていく方向と思われます。

輸入車販売のパイオニアとして、かつてヤナセは、メルセデス・ベンツほか、フォルクスワーゲンもアウディもBMWも輸入・販売していました。

すべてのメーカーが、専用のショウルームを構えスタッフをそろえてやっていけるとは思いません。かと言ってオートモールのような方向に行くと、やっていけなくなるメーカーも出てくると思います。オートバックスやドンキ・ホーテなどが自動車販売に乗り出していますが、イマイチうまく行ってない現状もあります。

バイクの世界は、パイが減るから単独では成り立たず、大手資本が量販してきた面があると思います。しかしこれではメーカーも疲弊してしまうので、独自店戦略に切り替えるということ。

国内の自動車販売は、今後人口減はもとより、労働人口の減少により伸びる見込みはあまりありません。

一方ではまだ世界3位の販売を誇るマーケットでもあります。

軽自動車の自社登録争いは、増税後の販売現もあり落ち着きを見せているようです。

メーカーやディーラーにとって一定の利益が見込める車種を売るには、きちんとしたディーラーが必要。もっと言うとモータースポーツや子どもの教育など、自動車文化を高める活動が最も大事。余力があるうちにそこを充実させて、少しでも付加価値の高い車種が売れる素地を整えて、国の基幹産業でもある自動車市場を活性化させてほしいと思います。

文 イオ ケンタロウ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
And CAR 広島について

輸入車ディーラーのことやメンテナンスメニューのことなど、クルマのことなら何でもご相談ください。
概算見積りも、ディーラーに問い合わせることなく、メールで依頼ができるので簡単・便利!
AndCAR広島のサービスや情報に納得したら、お気に入りのクルマを契約。車検や保証のことなど、買ったあともフォロー。
皆さまの より良いカーライフをサポートします。