19世紀後半、ヨーロッパで生まれた自動車は、化石燃料を燃やして走り、人がハンドルを操作して、好きな時に好きな場所へ行ける乗り物として人々の暮らしを支えてきました。
21世紀に入り、デジタル技術が大きな進歩を遂げ、自動車は、「自動運転」「EV」「コネクテッド」で劇的に進化すると言われています。
自動運転はレーダーやカメラ技術を駆使して、ブレーキ補助装置から前車への追従機能を備え、のちに走行車線キープなどへと進化しています。
EVは、日産のリーフをはじめ、三菱のi-MIEVや米国のテスラ、ドイツ勢ではBMWのi3やi8、またフォルクスワーゲンやアウディなど各社からはPHV(プラグインハイブリッド)シリーズが登場しています。
コネクテッドカーとはインターネットと常時接続したクルマで、ICT端末としての機能を備え、様々なデータをつなぎ考えるクルマとして、5G時代の到来とともに期待されるものです。
EVでなくてもハイブリッドなど低燃費車の普及で、ガソリンスタンドは減り続けています。電気自動車は充電設備と走行距離に大きな課題がありましたが、電池の進化が進み、日差リーフでは前型の実電費160kmくらいが260kmくらいに伸びているようです。テスラは電池を大量に搭載しているので、さらに長く走行できます。一方電池は重く、重量と性能のバランスに各社の考え方は様々。いずれ電気スタンドが増えていくと思います。
EVになると、エンジンとトランスミッションという自動車の要の技術がなくなるので、車体の開発がポイントになります。車体骨格・プラットフォーム技術により、軽くて安全性が高く、モーターにあわせて、より静粛性に優れたものが求められると言われています。
ディーゼルエンジンにブレーキがかかったヨーロッパ勢は、プラグインハイブリッドにシフト。中国は国を上げてEVを推進しています。
エンジンやミッションという長年積み上げた技術が不要になるEVでは、自動車に求められるものが大きく変わってきます。
今後大衆自動車は簡素なEVになり、その市場は中国などに奪われていくのではないでしょうか?そして高級品や趣味の対象としての自動車がどうなるのか?ヨーロッパ車の歴史に裏打ちされたブランドイメージと技術の優位性で、デジタル時計とブランド時計のような棲み分けの可否が決まりそうです。
日本車の行く末も、買収された家電メーカーのようにならないとは言えず心配。おおきなパラダイムシフトのなか、新興勢力はチャンスとばかりに邁進し、老舗は強みを生かすべく試行錯誤しています。
環境対応技術として、ディーゼルを進めたヨーロッパと、ハイブリッドで斬り込んだ日本。これからは電池がカギを握ると言われる時代。メーカーのジャンルを超え、オールジャパンで戦って欲しいものです。
新聞・テレビからパソコン、そしてスマホになったような変化が、クルマにも訪れていると言えそうです。
写真/文 イオ ケンタロウ