20世紀、クルマの性能はスピードで語られてきました。
21世紀、人々の関心は燃費にシフトしています。
この燃費基準が、2018年10月から、世界共通のWLTCモードに統一されます。
現在の国内基準 JC08モードは、平均燃費として一つの数値が表記されていますが、WLTCモードでは、①平均燃費②市街地③郊外④高速という4つの使用環境での数値が表示されます。
その昔、国内での燃費は様々な規準を設けてきました。
●60km定値走行
その名の通り時速60kmで一定で走った時の燃費を測ったもの。自動車にとって最も消費燃料が少ないパターンでの測定のため、実際の燃費とは大きくかけ離れたものでした。
●10モードから10.15モード、そしてJC08モードへ
いずれも横比較(同一条件での比較)において有効でしたが、依然として実燃費とかけ離れたもの。JC08モードは市街地の渋滞が項目に加わったため、アイドリングストップが有効に働き、一気に同機能普及しました。
JC08とWLTCモードの比較
・平均速度が24.4km➡36.6kmへアップ
・最高速度は81.6km/h➡97.4km/hへアップ
・アイドリングストップ時間29.7%➡15.4%へ減少
JC08モードではカタログ値の6割程度のクルマが多く、実燃費との乖離が大きかったため、WLTCモードの市街地モードでは、実際の燃費と近い数値となるようです。
エコカー減税などとも大きく関わるカタログ燃費。そのためアイドリングストップをフル活用し、CVTで効率を追及し、ギア比もそれ用に合わせるクルマは多いなか、輸入車の多くは日本のJC08モード用に作っていないので、カタログ値と実燃費が一緒という車種が結構ありました。
これからは世界共通の燃費基準「WLTCモード」がスタンダードになります。
テスト時だけいい数値を出してきた従来の基準から、実態に近い数値が公表されるため、ユーザーのメリットにつながるはず。不利な戦いを強いられてきた輸入車にとっては、望ましい形になっていくものと思われます。
文 イオ ケンタロウ