日本の燃費基準
日本の燃費基準はJC08モードという基準で測定されています。
これは国交省が定めるガラパゴス基準。
三菱自動車が不正操作によって型式申請をした軽自動車4車種をはじめ、その他の車種も国が検証を行うそうです。
このニュースを見ていて思うのが、燃費偽装(測定時に抵抗値を少なく申請)した三菱が悪いのはもちろんですが、そもそも「JC08モード燃費」の在り方が問われなければいけないはず。
このガラパゴス基準を追いかけてカタログ値を良くするために、独特のテスト対策で実態とかけ離れた数値がまかり通っているのです。
JC08モード燃費は、実燃費として”6割”行けばいい数値なのです。
以前の10モードや10.15モード基準に比べると、エンジン冷間時の測定があるなど、少し厳しくなってはいるようですが、今回の事件は国内基準で7%抵抗値をズルしていたので、数千億円の保証をします となっているのです。
公平性の確保という意味では一定の基準が必要ですし、そこでの不正は許されません。一方、国交省は測定をメーカーに任せることで、数値の保証について逃げを作っており、そこに不正を行うスキマがあったということでしょう。
世界の燃費基準
アメリカやヨーロッパでは、極めて実燃費に近い数値を発表しています。
ちなみにトヨタ・プリウスのJC08燃費は37.2km/l。同モデルのアメリカでのカタログ数値は22.8km/lです。おそらく日本で使用しても、多くのケースでこのくらいの数値になるはずで、極めて実燃費に近い数値なのです。
国が自ら測定
今回の不正を受けて、国交省が三菱の対象車種の燃費を測定すると発表しています。自動車メーカー各社は、JC08モード燃費を測定するとき、専門のプロドライバーで測定しています。同じクルマでもドライバーで10%程度の差異が生じる世界。もし国が該当車種について技術的なことがわかっていないドライバーを使用したら、抵抗値うんぬん抜きにしても大きなかい離が生まれ、別の問題に発展しそうです。
輸入車の燃費
輸入車に関しては、外国で作ったクルマを持ち込んで、日本独自の基準で測定されるので、カタログ値と実燃費が近いと言われます。ハンドルやエアコンなどは国内用に替えますが、エンジン特性やミッションなどは、本国仕様のままがほとんどのはずなので、日本車と違いJC08スペシャルではありません。日本車ではほぼ不可能ですが、輸入車では条件がよければカタログ値以上の燃費が出たりもします。
まとめ
今回の件で、実態とかけ離れたJC08モード燃費は、見直さざるを得なくなると思います。
自動車に関して、20世紀はスピードの時代、21世紀初頭は燃費の時代と思いますが、いずれも何馬力多いとか燃費が何キロいいとか言って一喜一憂するのは、あまり意味のないことです。あくまで一定の規準に基づいていますが、あくまでメーカー発表によるものです。
行き過ぎた燃費競争よりも、本当の安全性やリサイクル率など、新しい切り口でクルマの魅力を発信してもらいたいと思います。