はじめに
5年前に平均1リットル130円だったレギュラーガソリンの価格は170円、180円に迫っています。
もともとは産油国の生産調整によるものだったと記憶していますが、コロナ渦により重要が急減し、さらに供給が制限されじわじわと上がっていました。そこにロシアのウクライナ進攻が加わり、政府の補助金も”焼け石に水”になり兼ねない ますます不安定な状況が訪れています。
地球環境やエネルギー問題を考えるなかで脱石油、脱ガソリンに向かうなか、ガソリン価格高騰により、その流れはさらに加速するのでしょうか?
EVの現状
脱炭素という目標が、いつの間にか”EVが脱炭素の手段”という風に置き換わっています。
EVに乗る機会がありそこで感じたのは、刻々と変化する「走ることのできる距離」と「次の充電器探し」を心配し続けることになり、長距離移動には向かないのでは?ということでした。
せっかく見つけた充電器も、先客がいれば30分、場合によっては1時間以上待つことになります。また、急速充電では8割程度しか充電できず、さらにはエンジンでは低負荷の高速走行がモーターにとっては高負荷になり、電費はさらに悪い・・ということも学びました。
脱炭素とは?
現在日本の電力の8割は火力発電で賄われています。同じく自動車大国のドイツやフランスも、ロシアからのエネルギー供給を絶ち、原発で賄う方針に急変しています。
自動車の搭載されるバッテリーの容量はとても大きく、その製造過程で莫大なCO2が出るそうです。参考までに、3人程度の一般的な家庭で1日に消費する電力は10~14㎾。最近のEVは30~60kWのバッテリーを搭載しているので、言い換えればEVで300㎞程度移動することは、一般家庭の数日分の電力を使うことになります。
現在、国内には6000千万台以上の車がありますが、EV比率はわずか0.2%未満です。これが現在のハイブリッド並みの15%になると1000万台弱、その内稼働率を現実的な3割(毎日乗らないため)にしても、1000万世帯以上分の電力消費が増えるという計算が成り立ちます。
再生可能な水力発電や太陽光発電は、生態系を壊す、またはその製造過程や処分でもエコではないなど、脱炭素また脱原発とは真逆の方向に向かうのが実情です。
技術の進歩が未来を拓く
充電インフラの整備やそもそもの発電問題、そしてバッテリー製造などでもでるCO2問題などを加味すると、現実的には社会や経済にとってデメリットも。これを推し進めているのは、世界の脱炭素運動に後れを取りたくない政府、政治家とも言えそうです。
一方バッテリーの性能は上がり、モーターにも変速機を付けるなどで、EVの航続距離は劇的に進化する可能性があります。また、ラスト1マイルを担う宅配業者や、現在の軽自動車に代わる近距離コミューターとしては、大きな需要があると思います。逆にトラックなど荷物を載せて長距離移動する自動車には不向きかもしれません。
乗用車では、街乗り中心なら、小型EVまたはハイブリッド車、中長距離移動は、ヨーロッパ車に多いダウンサイジングターボの進化型に期待したいところです。このハイブリッドとダウンサイジングターボは、自分でも所有またはレンタルで長距離移動してみましたが、ストップ&ゴーが多い市街地では、スタート補助やエンジンマネジメントが高度やハイブリッドが有利、そして高速道路ではハイブリッドよりダウンサイジングターボにメリットがありました。またトヨタが研究開発するバイオ燃料のエンジンも可能性が期待されています。
まとめ
2030年、2040年に新車はピュアEVのみ・・・などの政策が各国から打ち出されていますが、そのようなことが本当に可能でしょうか?目の前の車から何が出ているかということだけでなく、その製造過程やエネルギー循環、今となっては世界情勢まで考えると、目指すはEVでなく脱炭素だと思います。政治や外交、エネルギー問題など詳しいところまでは分かりませんが、現実的なステップで目的達成を目指し、何よりその大前提となる平和な社会に戻ることを心から願っています。