設立期のルノー
ルイ・ルノーという少年が、シャフトドライブによるリア駆動を発明し特許を取得。その財で1889年に立ち上げたルノー兄弟社をルーツとするのがフランスを代表するメーカー「ルノー」です。第一次世界大戦を前に、パリのタクシーを大量に受注・生産したことで、大きく飛躍。この実績からフランス軍のサプライヤーとして、戦車や航空機エンジン、機体まで生産。その後 戦争でドイツに制圧されたのち、国有化されてルノー公団になっています。
戦後のルノー
1947年には小型車”ルノー4CV”を発表。
日本にも導入され人気となりました。
そのあと、1961年にはカジュアルなクルマの代表”ルノー4”(キャトル)を発表。
フランスの乗用車市場で最も売れたクルマでもあります。
そして1972年には世界的大ヒットモデル”ルノー5”(サンク)を発表。会社は潤沢にもうかったようです。
近代のルノー
第二次大戦から45年を経た1990年、株式会社に移行。1996年には完全民営化され、同じくフランスの大企業ミシュランから、カルロス・ゴーンをヘッドハンティングして迎え入れています。
1997年には日本をはじめ世界で大ヒットしたカングーを発売。
カングーは、商用車「エクスプレス」の後継として登場したモデルで、商用と乗用があったなか、いつの間にか郵便車などの商用車が、乗用車としてウケるようになったクルマ。今や日本ではオシャレな乗用車になっています。
ルノーのもう一つの顔は、高性能モデルを抱える ルノー・スポール。
ルノーの歴史はモータスポーツの歴史とともにあると言えるほど、モータスポーツに積極的なメーカー。現在もモータスポーツの最高峰F1に、「ルノースポール」として参戦しています。
高性能車といえばドイツ車をイメージしがちですが、コンコルドやTGV(新幹線)など、フランスは世界最先端の技術を持っています。
リア駆動をルーツとするメーカーとして、2016年夏、最小型モデル・トゥインゴをRR(リアエンジン/リアドライブ)で発売しました。
2009年からは、大規模なメーカー系のファンの祭典、「ルノー カングージャンボリー」を毎年開催。全国から多くのルノーファン、なかでもカングー仲間が集まるイベントです。
大衆車からスポーツモデルまで、バランスよく展開するメーカー。
ソフトなイメージもあるメーカーですが、実はルーテシア・メガーヌの「ルノースポール」に、ルノーが温めてきた技術の粋を詰め込んだ、硬派で武闘派な一面もあるのです。
文 イオ ケンタロウ 写真は一部サイトから借用