揺れ動く 輸入車マーケット

昨今、輸入車市場が騒がしく動いています。

先日、昨年のフォードに続き、クライスラーが日本撤退を発表。

ビッグ3と言われたいわゆる「アメ車」はGMが孤軍奮闘することになります。

しかし、今回のクライスラーの件は、フォードとは事情がことなり、グループの「Jeep」に経営資源を集中して日本マーケティングを展開するというもの。国内約70の正規ディーラーは、随時ジープの新CI店舗にシフトしている最中でした。

昨今のクライスラーは300Sという、中型セダンの単一車種で国内展開していました。

以前ドイツダイムラー社と資本提携していた時代に誕生した「ダイムラー/クライスラー」の300Cの新型車。PTクルーザーなどを展開していた時代からは、大きく販売を減らしています。

一方ジープは若い人を中心に支持を伸ばしています。ジープ・ラングラーやチェロキーほか、最近は、フィアットグループ(FCA)のメリットを活かし、フィアット500Xとプラットフォームやエンジンを共有するコンパクトSUV「ジープ・レネゲード」を展開。本格クロスカントリーから、経済性に優れたモデルまで幅広くSUVを展開し、輸入車市場でドイツ勢・ボルボに続く人気ブランドに成長しています。

一方ドイツ勢はVWに続くディーゼル問題に揺れています。

ダイムラー社のメルセデス・ベンツのディーゼルに”排ガス不正”があったと発表されました。

今回メルセデスの対応は早く、ドイツ当局の発表からわずか1週間で300万台を改修すると発表。当初日本は対象外とアナウンスしたものの、その後翻り、国内のディーゼルモデルもすべて改修すると方針を変更しています。

VWは、国内正規ディーラーでディーゼルモデルは展開しておらず、あくまで海外でのニュースでしたが、メルセデスは長らくディーゼルモデルを展開しています。国内モデルを改修するのは、”市場の混乱を防ぐため”としています。車両に不具合があるのか、また不正があったのかということは明らかにされていません。

強まる各国の環境規制に対して、日本車はハイブリッド、欧州車はディーゼル車を中心に対応してきました。渋滞が多く、ストップ&GOが多い日本では発進をモーターで補うハイブリッドが有効、平均速度が高く高負荷で走るヨーロッパでは、アクセルを踏み込んでも燃費が悪化せず低回転で力が出るディーゼルが有効とされてきました。

そのお膝元ヨーロッパで、ドイツ勢を中心にディーゼル離れが進んでいるようです。各メーカーがハイブリッド技術を積極的に取り入れ、各社 より大きなバッテリーでEV的要素の高いPHV(プラグイン)にも力を入れています。

1997年、初代プリウスが世界初のハイブリッドカーとして発表され20年。最先端の技術は多くの特許を取得していました。その大半が切れ、最近は各社から優れたハイブリッドカーは生み出されています。

ポルシェなどは、今後ディーゼルは開発しないと言い、ボルボは近い将来内燃機関から手を引き、EV化を進めると発表しています。

ヨーロッパで生まれた自動車は、100年の歴史を超え、動力源ほか、自動運転技術や安全性能など大きく進化、やがて人工知能などで、趣味やステータスの象徴から、社会インフラへと代わっていくものと思われます。

スピードという夢を与え、人々を魅了してきた自動車。長い歴史に裏打ちされた個性を持つ輸入車は、次にどのような価値を作ってくれるのでしょうか?日本人の価値感では、単なる移動の道具・白物家電化が避けられない中、ブランド時計のように、ストーリーを大事にしながら、この先も”多くの人の憧れの存在”として発展することを期待しています。

文 イオ ケンタロウ

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