クルマの未来は電気!?

現在、世界の自動車保有台数は12億6130万台と言われます。

日産からEVの最新型・リーフが登場し、世界的にはシリコンバレー生まれの電気自動車・テスラが勢いをつけています。また中国ではEVメーカーが多いのも事実。しかし現状EVのシェアは0.1%。世界で126万台です。

このようななか、イギリスとフランスが2040年以降、EV以外のクルマは販売できないと宣言。ボルボは19年以降に販売する新型車をすべて電気にするというなど、ドイツ・フランス・イギリス・スウェーデンを筆頭に、世の中に完全EV時代が来るような風潮になっています。

これらの背景にはいろんな事情が絡みあっているようです。

表向きは地球温暖化に対して、Co2など有害な排ガスを減らそうというもの。しかしEVになっても特に火力発電ではCo2は排出され、バッテリーにもレアメタルなど様々なものが必要。熱効率をあげたエンジンと比べ、一概に環境負荷が低いとは言えなさそうです。

実際はディーゼルの排ガス問題が、ヨーロッパの脱エンジン、脱ディーゼルを即断させている面もあります。

果たしてこの先、本当にエンジン自動車は淘汰されてくのでしょうか?

【イギリスとフランスの発表】

ヨーロッパにおける経済や自動車産業のリーダーはドイツ。昨今のEU問題も含めて、今のままではドイツに引き離されるという危機感のなか、ドイツを念頭において「イギリス/フランスでは内燃機関車輌の販売を禁止」と発表。あくまで国内で販売を禁止しているだけなのです。ルノーもプジョーも東欧やアジアに工場を持っているので、自国以外に向けて販売することはできそうです。またフランスは原発大国なので、電力供給という面では有利。EV推進を機に、ドイツを超えて、ヨーロッパでの主導権を握りたいとの思惑が見え隠れします。

【ドイツの立場】

昨年いち早く、30年に内燃機関の使用を禁止する議決をしたドイツですが、あくまで法整備をこれから進めるというものだったなか、先日のイギリスとフランスの声明を受けて、「ディーゼルエンジンは将来においても、総合的にはエネルギー効率がいい」と言っています。国民の10人に1人が自動車産業に従事するほどのドイツにとって、ガソリン/ディーゼルを捨てることは、エンジン自動車で優位なドイツブランドを自ら捨てるようなもの。実際は危機を感じており、当面はプラグインハイブリッドへシフトしていく模様です。

【中国がカギ】

EVという電子産業の急成長、また世界一の自動車販売台数を誇る国として、中国がEV化の是非についてカギを握っています。エンジンではドイツや日本に優位性がありましたが、EVでは開発・生産能力など十分なものを既に備えています。また大気汚染の深刻さも、欧州や日本の比ではありません。電池で世界制覇を目論んでいることは間違いなさそうです。

【まとめ】

一部でいわれるヨーロッパを中心に進むとされるEV化は、政府のフライング的な面もあり、ドイツや日本で冷静に受け止められ始めました。一方トヨタとマツダの提携で量産型EVのプラットフォーム共同開発が発表されるなど、大勢がEVの方へ向かうことも事実です。

この流れの最大の鍵を握るのはやはり中国。19年から一定数EVや燃料電池車の販売を義務付けます。これにより、国内消費をベースに、自動車産業でも世界をリードすることを目論んでいそうです。またアメリカもカリフォルニアの法律でEVが進められています。

100年に一度と言われる自動車産業の変革は、長らく「スピードの正義」で世界をリードしてきたヨーロッパ勢の中の覇権争いや、そうしているうちに力をつけてきた中国の影響など、様々な要素が絡んでいます。またガソリン価格が今後下がる見込みは低く、世界的なエネルギー問題という面でも、内燃機関だけで走る車は減るものと思われます。しかし当面は、ガソリンスタンドと充電設備の同時進行でインフラ整備を進めなければなりません。インフラが電気へとシフトするまではプラグインハイブリッドでしのぎ、潮目を見てどこかでEVにシフトするものと思います。

一連の報道は、20~30年でエンジンが無くのではなく、エンジンだけで走るクルマがなくなっていくということのようです。最大のマーケット中国や、急成長するインドがそれを望むなら、識者が思うより早くEVへシフトするのが市場の原理でもあります。

文  イオ ケンタロウ

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